初めて買ったピンクのマニキュア。



初めて塗ったそれは



なんだかとっても女の子っぽい気がして



照れくさかった。
















…のはいいんだけど。












「また剥げたぁぁぁぁぁぁ!!!」





怒りに任せて手に持っていた洗いかけの長太郎のタオルを力の限り引っ張り破る。

どうもマネの仕事なんかしてるとどうもどこかでかすってしまいちょっとずつ

綺麗に塗ったマニキュアが剥げてしまう。

特にタオル洗いをしてる今、おもいっくそ剥げた。

そのせいでイライラは頂点に達し、物に当たる始末。

この前は日吉のタオル。その前は向日のタオルだ。

忍足のタオルなんて見るも無残な姿になっている。

しっかし…200人もいる氷帝テニス部のタオル洗い(手洗い)とかイジメとしか思えない。

いや、明らかにイジメだ。

特にこの跡部の薔薇の刺繍の入った無駄に高そうなタオルとか殺したくなる。

これのせいでわざわざジャージもタオルをも手洗いしなきゃならなくなったんだから!!

あぁぁ…もういっそのこと藁人形作って五寸釘で打ち付けてやろうかしら…。






「…自分、何叫んどるん…?」






氷帝の動く眼鏡コト忍足侑士が近づいてきた。

めざとく(まぁ適当にそこら辺に放置してたんだけど)

自分の変わり果てた姿のタオルを見つけ眉をひそめる。






「…これ、俺のタオルやないか…?」


「うん。そうだったね。」


「そうだったねってアンタなぁ…」






呆れ顔(実際呆れてた気がせんでもないけど)でそれを拾い上げる。






「ねーコレ見てよー。あのアホのせいであたいの初体験が涙がちょちょ切れるー!!」


「ワケわからんけど…なんや、マニキュア塗っとったんか」


「おうよ。かわえかろう。」


「何言っとんねん…剥げてもうてるやん。」


「だからアホのせいだって。」






ぶすっーっと顔をしかめると眼鏡は、「成る程なぁ」と苦笑した。






「何故に私がアホの為にタオル洗ってやって

ついでにレギュラーのも洗ってやって

気が付いたら全員分のタオル洗ってやってるわけなのさ!?」


「ジャージは洗濯機で洗えるからえぇやん。」


「当たり前だ!!ジャージまで手洗いしてたら日が暮れるわ!!!」


「でも跡部のは洗ってやってんのやろ?」






一瞬浮かんだ跡部の顔。


さらりと出た忍足の言葉だったけど、何故かドキッとした。






「…だってアイツ手洗いしないと肌触りが変わるとか言って来るんだもんさ。あの俺様。」


「ジャージに肌触り求めとるんかアイツ…。」







何気ない会話。


だけどどこかで今の言葉が気になっていた。







『でも跡部のは洗ってやってんのやろ?』







なんで私がアイツの為にタオル洗ってやったり

ジャージ洗ってやったりしなきゃならんのよ。



マネになって初めての仕事がコレ。



いつの間にやら恒例になってたもんだから

気付かなかったと言うのが正しいのかもしれないけど改めて考えるとありえねぇ。





だからといって不思議と今更やめようとは思わない。





少し前に跡部に言われた「少しは女らしくして見せろ」という言葉。


そのせいで見てろよと言う気持ちでマニキュア塗ったりしたんだけど…。








私、跡部に振り回されてないかい?









思考がそこまで到達した時、むず痒さが体中を駆け巡り雄たけびを上げた。







「うるせぇな…なにやってんだ、。」






声を聞きつけやってきたのは跡部。


かぁぁぁぁっと頭に血が上る。





「うぎゃあーー!!!もうなんかむかつくわー!!とりあえず俺様はたかせろ!!」


「は!?いきなり何言ってやがる!?」






いきなり暴れだした私に戸惑う跡部にとりあえず避ける忍足。


振り回す手をパシッと掴まれる。


跡部は一瞬爪を見てニヤリと笑った。





「ほーう…言うこと聞いて女らしくマニキュア塗ってんのか。従順だなア〜ン?」






私がなんで跡部だけにあれやこれやしてやっていたのか。




今まで興味がなかったマニキュアを塗ろうとしたのか。




この胸の高鳴りで気がついた。




だけどこの俺様には絶対に気付かせない。











「うぎゃーー!!アンタの言うこと聞いたわけじゃないわよ!!とっとと離せやー!!」











暴れまわるのが私流の照れ隠し。









「ホント仲えぇんやなぁ…。」








不本意ながら、この動く眼鏡にはばれてるみたいだけど。















今度は口紅を買ってみようかななんて思ってみたり。







ちょっとした変化に気が付く俺様に







少しでも女の子としてみてほしいから。






























落ちも何もあったもんじゃないです。


☆どうにかこうにか戻り隊☆




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送