9/12。

今日はオレの誕生日。



朝からいろんな奴がプレゼントくれたりして祝ってくれた。



テニス部の奴らは全然顔を見せないけど。



どうも、サプライズパーティか何か考えてくれてるみたいだ。











誰かの誕生日の時には絶対やるような、変な伝統っぽさが生まれつつあるこのサプライズ。



実際のとこ毎回毎回気付かずに本気で死ぬほど驚いたり感激したりするのは、



お坊ちゃんの跡部と泣き虫侑士(何かこの呼び方キモい)くらいだ。



他はそこまでの衝撃は受けず、ちょっとびっくりした後にとりあえず騒いで終わる。



いや、嬉しくないわけじゃないんだぜ?



ただマンネリってやつになってるだけで。



でも、今年は少し期待してる。



なんたって、普段から予想もつかない行動ばっかりやってるやつがメンバーにいるんだから。















なぁ、マネージャー







オレの中学最後の誕生日、一生忘れられないようにしてミソ?























「さて諸君。静粛に。OKですか?



…ゴホン。それでは、『ガクソの誕生日サプライズで感激☆おろろん泣かしちゃうわよ会議』を始めます。



全員起立。礼。



…跡部と忍足以外着席」



「はぁ!?」



「何で俺と跡部だけ座ったらあかんねん!?」



「ほらほら、あとべもおしたりも、発言は手を挙げて当てられてからじゃないとダメだC〜」



放課後、部活は休みだというのにミーティングの名目で委員会の仕事中に呼び出された先の会議室。



無駄に眼鏡をかけて理知っぽさを醸し出そうとしているマネージャーと芥川先輩の姿を目におさめた瞬間、



俺はこの先の時間が死ぬほど無駄かつやたら長くなることを悟った。



そして、いかにあがこうとも逃げ出せないことも。



(……悪いな、河合(※クラスメート)。



俺としては非常に不本意だが後の仕事は全部お前に任せるしかなさそうだ)



ため息をおとしながら、意識を会議のほうへと向けた。











「はい。先輩、ちょっといいですか?」



鳳が挙手をする。



「ウム。おーとりくん、発言を許可する」



「えーと、向日先輩の誕生日って9/12ですよね?」



「ウム。いかにもだCー」



「今日の日付は?」



「ウム。9/12じゃ」



「………本当にわかってるんですよね?」



自信満々に返答していくマネージャーとジロー。



…本当かよ。



明らかにうさんくせぇ



「はい」



「ウムどうぞー」



「あのさぁ…すっげー納得いかねーんだけどよ…」



「うむうむ何がだね?」



「何でその会議に本人のオレが、よりにもよって誕生日当日に出席してんの?」



「(∵)!」

「いや、そんな『あぁ!』みたいな顔しなくていいからさ、何か納得いく理由を言ってミソ?」



「あー…なんでだろうねー」



「ねー」なんて司会二人で首傾げあっても可愛くないから!



つーか…



何か腹立ってきた。





「なんなんだよ!もう、お前らなんてしらねー!!!!!!」



バン!と机を力の限り叩いて、オレは会議室から飛び出した。









結局、サプライズ考えてるみたいだなんてオレの勘違いで



面白いことが起こるかもなんて、そんなのただの気のせいで



皆、本当はオレの誕生日なんて忘れてたんじゃねーの?



オレのことなんて、どーでもいいんじゃねーの?









走って、荷物なんて教室に置き去りで



逃げて、皆なんて会議室に置き去りにして



滑って、こけて…









――こんな、悲しい悔しい気持ちも、どっかに置いてこれたらいいのに。













「いってぇー…」



すりむいたひざを抱えて、こみ上げてきた涙をこらえて下を向いた瞬間、





「――――っ岳人!!!!!」





珍しく切羽詰ったような侑士の声が聞こえた。



…オレは、振り向くことも出来ないまま、強い衝撃を受けて意識を失ったのだけれど。





































目が覚めたら、周りの見えない真っ暗闇の中だった。



…ここはどこだろう。



「っ痛……」



起こした瞬間痛む体。



意識を失う前のあの衝撃を思い出して、少し不安になる。



何だろ、オレ、もしかして死んだとか?まさかな。



ふと、暗闇に馴染んでいた目に、かすかな光が飛び込んできた。



………ドア、みたいだ。



何かに誘われるようにそこに手をかけ、わずかに力をかけて、押し開けた。

























……なんだこれ。











扉の向こうに広がっていたのは、天国でも地獄でもましてや不思議な世界でもなく

跡部ん家の大広間だった。



ただし、酔いつぶれたらしいテニス部員がいたるところに転がっているけれど。

















「ハッピーバースデイがくそー!!!!!!!」





突然右側からかけられた声に一瞬ビビった。



しかしそちらを見ても誰もいなくて、そのかわり、カセットデッキがおいてあった。





「ハッピーバースデイがくそー!!!!!!!」





再度、同じ声が飛び出す。



「マネージャーの声…?」



どうやら、CDにこれだけを入れて、延々リピートしてるみたいだ。



少し目頭が熱くなった。



ごまかすように上を向くと、そこには垂れ幕。







『Happy Birthday ガクソ』







…最後の名前んとこだけやたらへたくそな縫い目で刺繍してある。



たぶん、跡部の誕生パーティーの時に飾ってたやつを再利用したんだろう。



何なんだよ、コレ。





誰かに答えを求めるように、部屋をぐるりと見回した。



ソファーで座って寝てる跡部。

その横の樺地。

それぞれ四隅に転がって寝てる滝、日吉、侑士、宍戸と鳳。

部屋のど真ん中で大の字になって寝てるジローとマネージャー。



たくさんのテーブルの内のひとつに乗っかってるのは、山盛りのからあげと、納豆と、たった一切れのケーキ。





ここまできて、やっと気付いた。



あの意味のわかんねー会議からすでに、サプライズが始まってたんだ。



…馬鹿だな、こいつら。



うっかり泣き出したい衝動と、大きく笑い出したい欲求とを押さえつけながら、



とりあえずオレは皆の方を見て笑った。



たぶんその顔はすごく引きつってて、余裕なんてこれっぽっちも感じられなかっただろうけど









格好悪い顔も、

零れ落ちた雫も、

誰も見てないからいいんだ。













Happy birthday Gackt Mukahi!









蛇足。



あの日オレがうけたあの衝撃。



実は、チャリが猛スピードで突っ込んできて、ぶち当たったためのものらしい。



しばらく全身死ぬほど痛かった。



ちなみに犯人は青学の桃城だってよ。



クソクソ青学!



今度の試合の時は叩き潰してやる!





















実はメルマガで稀羅っちとコラボレーションしちゃったのの総まとめ的なオチの話だったり。
気になる方はここに飛んでみそ。→http://re-kurage.b.to/kirakira/1
天性の突っ込みで、うっかりいろいろなことに聡いんだけども根本的にはおばかさんなガクソが大好きです。
ハピーバースデーイでしたガクソー(* ̄▽ ̄)ノシ









戻ってみちゃっ隊


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